コミックですが、まるで静止画を見ているような感覚です(漫画はもともと静止画ですがこの作品は極端な動的表現はありません)。すっきりした画風で8つのお話が淡々と語られていきます。
読む人によって好きなエピソードは違うと思いますが私が気に入ったお話をあげてみたいと思います。
①書籍のタイトルになっている「惑星9の休日」
惑星9で暮らす小説家は、永遠影にある氷ついた街付近に行くのが日課で、そこには人もそのまま氷ついていてその中にひときは目をひく女の子が・・・そんな時惑星9に隕石が衝突しました。そして永遠影の場所に変化が・・。
生と死を描いているのかなとも思いました。形あるものはいつかは壊れるもの人も街も・・・彼(小説家)は意外と冷静に運命を受け入れているようです。
②「玉虫色の男」
夢の中に出てくる玉虫色の男?何の意味があるのだろう?
人間悪夢でなければたとえ風邪でふせっていてもそのとき見た夢が不思議で楽しければ乗り切れますよね。
③「衛星の夜」
惑星9に月は2個あります。その一つが惑星から離れていくというその日、その昔今離れ行く月へ調査に行った元宇宙飛行士があかす今まで語られる事のなかった事実とは・・・。
言葉で表すのは難しいですが、最後の87ページが印象に残ります。元宇宙飛行士と気持ちを共有できそうな絵です。
そのほかにも、「それはどこかへ行った」「とある散歩者の夢想」がすきですね。
こういった静止感がある作品は好き嫌いが分かれるでしょう。似たような系統のコミックで「ヨコハマ買出し紀行」のような作品が好きだった方などに向いているかもしれませんね。